日本における鋳造技術の歴史は古く、「銅鐸」「奈良の大仏」においてもその技術が用いられています。鍋や釜など身近にある製品開発に対して用いられる鋳造技術については古いイメージを抱く方もいますが、現在では文房具、電子部品、ロボット、自動車、航空機などでも力を発揮しており、近代産業においても必要不可欠な技術と言えるでしょう。
その中でも、鋳造技術と密接に結びついているのが「自動車産業」です。経済産業省が公表している「鉄鋼・非鉄金属・金属製品の統計データ」を見てみると、2016年に国内で生産された銑鉄鋳物は「323.4万t」となっており、そのうち約64%に該当する「209.2万t」が「自動車用」として使用されていました。これは使用量2位となっている「産業機械器具用」の約13%と比べても圧倒的であり、いかに自動車産業との関係が深いかを表しています。
加えて、より高い鋳造技術によって製造された「精密鋳造品」についても、2016年に生産された「5441t」のうち「3888t」が自動車用で占められており、これは全体の約72%にも上る数字です。
これはいかに鋳造製造業と自動車産業の関係が深いかを物語ると同時に、鋳造技術の生命線は自動車産業に握られているとも言えるでしょう。
実際、現在の自動車は以下を見ても分かる通り、各パーツに鋳造技術が用いられています。
エンジンを構成する基礎的な部品のなかでもシリンダーブロックと共に主となる「シリンダーヘッド」。鋳造方法には「低圧鋳造」「重圧鋳造」「ダイカスト」「砂型鋳造」などがあります。
シリンダーヘッドの
鋳造方法や制作・鋳造メーカーの
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エンジン部分でも非常に重要な役割を担う「シリンダーブロック」。鋳造方法には「低圧鋳造」「ダイカスト」などがあります。
シリンダーブロックの
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エンジンで燃焼したガスを排気する際、最初に通過する「エキゾーストマニホールド」。鋳鉄が用いられており、主に砂型鋳造で開発されます。
エキゾーストマニホールドの
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エンジンルーム内で混合気を配給する役割を担う「インテークマニホールド」。基本的に鋳造の中でもメジャーな「砂型鋳造」が用いられます。
インテークマニホールドの
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エンジンオイルを溜めるためのパーツである「オイルパン」。鋳造方法として、「砂型鋳造」や「重力鋳造」を選択できる可能性があります。
「歯車装置」「減速機」とも呼ばれる「ギアボックス」。多くの場合砂によって型をとる「砂型加工」が採用されています。
自動車の排気系部品の一種である「タービンハウジング」。熱による変形・酸化が生じにくいとされる「特殊耐熱鋳物」で製造されます。
タービンハウジングの
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シリンダーヘッドの動弁機構に被さるカバーとして用いられる「ヘッドカバー」。高圧鋳造法や石膏鋳造など、さまざまな鋳造方法があります。
エンジンの中でも心臓部に該当する非常に重要な「クランクシャフト」。基本的に、溶解させた素材を型に流し込むことでパーツを作成していきます。
クランクシャフトの
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「カム」と、「シャフト」と呼ばれる棒が組み合わさったパーツである「カムシャフト」。砂型鋳造など、製造にはさまざまな方法が存在します。
エンジンのピストン部分と「クランクシャフト」をつなぎ合わせる役割を担うコンロッド。メインの鋳造方法として、「重力鋳造」と「ダイキャスト」の2種類があります。
選定基準:2021年10月時点にGoogleで「軽金属 鋳造」と検索したところ公式サイトが表示された100社を対象に調査し、そのうち、下記の各条件が確認できた1社を選定
※高品質:工場内に室温管理システム完備させていることを公式HPで明記している会社(https://www.metal-casting.jp/casting/casting/)
※大ロット:ダイカストマシンを11台保有し最大2,000個/月に対応を公式HPで明記している会社(http://hikari-light-metals.co.jp/html/koujosetsubi.html)
※超大型:2,000kg以上の鋳造実績を公式HPで明記している会社(https://www.tac-casting.com/business/products/#pro-auto)
※特殊素材:ベリリウム銅合金の鋳造および鍛造に対応と公式HPに明記している会社(https://www.feps.co.jp/tech/manufactur/melt.htm)