エンジンを構成する基礎的な部品のなかでもシリンダーブロックと共に主となる「シリンダーヘッド」。ここでは、シリンダーヘッドの鋳造方法や鋳造する際のポイント、依頼先メーカーの選び方について紹介します。
シリンダーヘッドの製造を通して、採用する鋳造方法によって使用する材料が変化することが挙げられます。また、シリンダーヘッドの鋳造方法にはいくつかの種類がありますが、基本的には以下の方法が採用される傾向にあるでしょう。
低圧鋳造は、溶解させたアルミニウム合金などの素材を低圧かつ低速にて流し込みを行う方法となります。鋳物に対してガスの巻き込みの少なさが特徴であり、製品の気密性が高くなりやすいことが強みです。
加えて、複雑な形状にも対応ができるでしょう。一方で、鋳造のサイクルは長くなりがちという特徴もあります。
重圧鋳造とは、金型の上部に溶解させたアルミニウム合金などの素材を流し込む方法です。重力鋳造は鋳造のアイデアについて自由に条件できる傾向にあり、複雑な形状にも対応可能です。
一方で、重力で流し込む方法であるため調整が難しく、トラブルが生じるケースも見受けられます。
ダイカスト法とは、溶解させたアルミニウム合金などの素材を、金型を用いて高圧で射出する方法となります。高速かつ高圧で溶解した素材が流入するため、薄肉製品や高精度な鋳肌表面の鋳物生成に効果的です。
加えて、大量生産にも適した方法となっています。ただし、鋳物の機械的強度については他の製法と比べると低く、コストが高額になりがちという点も見逃せません。
砂型鋳造は、基本的に添加剤を混入した珪砂を複数の鋳枠によって圧力をかけ固めることで鋳枠と反対の形状の砂型を作成。砂型同士を合わせたうえで、溶融した金属を流し込む方法となります。従来の製法では不可能なアンダーカット形状に対応可能であり、エンジンの軽量化、低燃費につながることが魅力です。
また、大きな設備が必要ないために、イニシャルコストも抑えられるでしょう。一方で、ランニングコストは高くなる傾向にあります。
シリンダーヘッドの鋳造方法のポイントとして、どのような方法を選択するかは早い段階で定めておく必要があるでしょう。理由として、鋳造方法次第で対応できる形状は変わってくるために、希望する形を実現できない恐れがあります。
また、前提として吸排気ポート、燃焼室についてはシリンダーヘッドの形状が決定された後に選定されて行きます。そのため、シリンダーヘッドの鋳造方法については迅速に決定をした方が良いでしょう。
シリンダーヘッドは非常に重要な要素であり、多くを求められるパーツです。耐食性、耐久性に優れている材質を用いて、頑強な構造を持ち、なおかつ軽量であることが求められます。こうしたパーツの作成については高い技術が求められるため、ホームページなどでメーカーの実績などについてはしっかり確認するようにしてください。
選定基準:2021年10月時点にGoogleで「軽金属 鋳造」と検索したところ公式サイトが表示された100社を対象に調査し、そのうち、下記の各条件が確認できた1社を選定
※高品質:工場内に室温管理システム完備させていることを公式HPで明記している会社(https://www.metal-casting.jp/casting/casting/)
※大ロット:ダイカストマシンを11台保有し最大2,000個/月に対応を公式HPで明記している会社(http://hikari-light-metals.co.jp/html/koujosetsubi.html)
※超大型:2,000kg以上の鋳造実績を公式HPで明記している会社(https://www.tac-casting.com/business/products/#pro-auto)
※特殊素材:ベリリウム銅合金の鋳造および鍛造に対応と公式HPに明記している会社(https://www.feps.co.jp/tech/manufactur/melt.htm)