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アルミニウム合金鋳物

さまざまな用途で使用されることが多い、アルミニウム合金鋳物。このページでは、アルミニウム合金鋳物について詳しく解説しています。アルミニウム合金鋳物の特性と種類についてまとめました。

アルミニウム合金鋳物の特性

アルミニウムは軽量で耐食性に優れているといった理由から、自動車部品に使われることが多いのが特徴です。アルミニウムの比重は鉄や銅と比較すると約1/3の軽さなので、自動車部品やバイクの部品、スマホなどの持ち運ぶ電子機器などに多く使用されています。熱伝導率が高く熱しやすく冷めやすいので、エンジンパーツやヒートシンクなどにも使われています。

このように優れた特性を持つアルミニウムですが、純度の高いアルミニウムは強度に劣るため、強度を高めるためにほかの物質を添加したアルミニウム合金を使います。アルミニウム合金は特性によって分類され、用途に応じて使い分けられています。

使い勝手がよくさまざまなシーンで使われているアルミニウム合金鋳物ですが、加工時には注意しなければならない点があります。アルミニウムは強度に劣る部分があるため、取り扱いには注意が必要です。融点が低いことから、溶接にも技術を要するでしょう。一般の鋼材と比べると高価なので、すべての部品にアルミニウムを使用すると製造コストが割高になってしまうというデメリットもあります。

アルミニウム合金鋳物を使う時は特性をよく理解し、用途に応じた加工をしたうえで使用しましょう。

アルミニウム合金の種類

AC1A、AC1B

AC1A、AC1Bは強度に優れており、耐熱性や切削性も高い合金です。AC1Bは高温でも機械的性質が高いため、熱に高い特性を活かして、自動車や航空機部品・油圧部品・高圧送電線用部品などに多く使われています。

ただし、鋳物の形状によっては、注意して取り扱わなければなりません。AC1A、AC1Bは割れが発生しやすく耐食性が良くないため、十分に防食対策をする必要があります。切削性には優れていますが、鋳造性はそれほどよくありません。

AC2A、AC2B

AC2AはAl-Cu-Si系の熱処理金型合金です。強度に強いため自動車部品に用いられることが多く、シリンダブロックやシリンダヘッドに使われています。

AC2Bには合金元素としてマグネシウムを少し配合し、強度の向上をはかり使用されることが多いです。鋳造性に優れているため、一般機械部品や機械フレームなど、複雑な形状の鋳物に適しています。

どちらも鋳造性がよく強度に優れていますが、伸びや耐食性が良くないのがデメリットです。

AC3A

AC3Aはほとんどが共晶組成のAl-Si二元系の非熱処理型合金です。流動性・耐食性に優れている反面、耐力が弱いという弱点があります。

よく使われているのは、エクステリアやビルの外装といった建築物です。流動性の良さを活かして、複雑な形状のケース類やカバー類、ハウジングやカーテンウォールなどにもよく使われます。

AC4A、AC4B、AC4C、AC4CH、AC4D

AC4A、AC4C、AC4CHは鋳造性、高圧性、耐食性に優れた合金です。アルミシリコン系の合金にマグネシウムを少し添加しているため、機械的性質が高まっています。なかでもAC4CHは添加元素量を調整しているため、他と比較すると靭性に優れています。熱処理によって、強度を向上させることも可能です。この特徴を活かして、安全性が求められる自動車の機械構造部分に使われることが多いです。

AC4Bは機械的性質を向上させるために、銅が添加されています。鋳造性や被削性、溶接性に優れたアルミ鋳物です。

AC4Dは合金にマグネシウムと銅を添加し、靭性を向上させています。強度や耐熱性に優れていることから、自動車のエンジン部品などに多く使われています。

AC5A

AC5Aは高温に強いアルミ鋳物です。ニッケルが添加元素として加わっており、加工性にも優れています。一方で、鋳造性はあまりよくありません。熱に強いことから、シリンダヘッドなどのエンジン部分のパーツや航空機のエンジン部分、ディーゼル機関車用ピストンなどに使われます。

しかし、現在は耐摩耗性によりすぐれた合金が普及しているため、使用される機会は減少しています。

AC7A

Al-Mg系非熱処理型合金のAC7Aは、Siを含まないAl-Mg合金です。食品機械や船舶の部品によく利用されています。耐食性が高く、伸びや靭性に優れた合金です。折れや割れに強くアルマイト性にも優れているため、綺麗に仕上げて部品の付加価値を高めることができます。

その分、鋳造性が悪いのが弱点です。用途としては、食品機械部品や船舶関連部品などに多く使われています。

AC9A、AC9B

AC9AはAl-Si-Cu-Ni-Mg、AC9BはAl-Si-Cu-Ni-Mg系の合金です。低膨張率と耐摩耗性を追求しています。ほかの合金よりもケイ素量を増やし、耐高温性や硬さを向上させています。その分、鋳造性や靭性は低いのが特徴です。

用途としては、ピストンや空冷シリンダなどに用いられることが多いです。

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