Vプロセス鋳造は砂型を凝固剤で固めない鋳造方法です。砂型鋳造の一種ですが、廃棄物が出ないため省エネルギーな方法です。ここでは、Vプロセス鋳造について詳しく解説していきます。Vプロセス鋳造のメリットとデメリット、製造工程をまとめました。
Vプロセス鋳造は砂型鋳造の一種です。ただし、鋳物砂に粘結材を使用しないため、壊して鋳物を取り出した後も、鋳物砂を再利用することができます。Vプロセス鋳造は流動性に優れており、振動させることで隅々まで砂を充填させることができます。
プラスチックの成形フィルムに包まれた鋳型内を吸引することで減圧し、鋳物砂で鋳型を作っていきます。見た目に優れた製品を鋳造できるため、繊細な鋳物の制作に適しています。型をばらすときは、鋳物内の圧を解除するだけです。すると、鋳物砂はサラサラの状態に戻り、簡単にばらすことができます。
Vプロセス鋳造は、日本のオリジナルの鋳物法です。リサイクル面でも優れており、さまざまな用途で使用できます。
Vプロセス鋳造のメリットは、大型製品の鋳物が容易にできる点です。Vプロセス鋳造には粘結剤が含まれていないので流動性に優れており、大きなものでも小物と同様に造型できます。造型できる商品の適用範囲が広く、小さいものから大きなものまで、複雑な形状や薄肉形状にも対応可能です。
Vプロセス鋳造の鋳物砂は粘結剤を含まないため、繰り返し使うことができます。小ロットの製品であれば、金型よりもコストを抑えて鋳造することができるでしょう。また、金型ほどではないにしても、十分綺麗な鋳肌に仕上げることができます。表面をきれいに仕上げられるので、フレームやカバーにも多く採用されています。
Vプロセス鋳造は、中子を使用するような鋳物には不向きです。減圧することで型を保っているため、複雑な鋳物には適しません。成形フィルムには成形の限界があるため、形状には制限があります。
Vプロセス鋳造では鋳物砂を使用するので、集塵設備が必要でしょう。
ここからはVプロセス鋳造の製造工程を解説します。
まずは、型に成形フィルムをかぶせてセットしましょう。プラスチック製の薄いフィルムを加熱軟化させて、セットした木型にかぶせます。型にフィルムを密着させたら、上部に鋳型枠をセットします。型枠内に砂を充填し、砂の上から保護フィルムをかぶせましょう。密閉したら、鋳型内を吸引減圧してください。これで減圧状態の鋳型が完成です。
減圧状態のまま上の方と下の方を合わせ、そのなかに溶湯を流し込みます。
吸引を止めると鋳型内の圧が正常に戻り、固まっていた砂は崩れ落ちます。Vプロセス鋳造では鋳物砂に粘結剤を使用していないためサラサラです。型をばらす手間もなく、砂を再利用できます。
選定基準:2021年10月時点にGoogleで「軽金属 鋳造」と検索したところ公式サイトが表示された100社を対象に調査し、そのうち、下記の各条件が確認できた1社を選定
※高品質:工場内に室温管理システム完備させていることを公式HPで明記している会社(https://www.metal-casting.jp/casting/casting/)
※大ロット:ダイカストマシンを11台保有し最大2,000個/月に対応を公式HPで明記している会社(http://hikari-light-metals.co.jp/html/koujosetsubi.html)
※超大型:2,000kg以上の鋳造実績を公式HPで明記している会社(https://www.tac-casting.com/business/products/#pro-auto)
※特殊素材:ベリリウム銅合金の鋳造および鍛造に対応と公式HPに明記している会社(https://www.feps.co.jp/tech/manufactur/melt.htm)