消失模型鋳造は1958年にアメリカで提唱された方法で、発泡スチロールの模型を鋳物砂のなかに埋設して鋳造する方法です。依頼者のオーダーに限りなく近い鋳物を表現できる方法で、さまざまなメリットがあります。ここでは、消失模型鋳造のメリットとデメリット、製造工程をまとめました。消失模型鋳造について詳しく解説していきます。
消失模型鋳造は、鋳造物と同じ型の模型を発泡スチロールで作り、それを砂に入れて溶湯を流し込みます。すると模型は燃焼・気化し、できた空間部分に溶湯が満たされることで鋳物ができるという仕組みです。
溶湯を流し込むと発泡スチロールの型が一瞬で焼失するため、消失模型鋳造と呼ばれています。加工が簡単な発泡スチロールを使うことで、オーダーに限りなく近い型を表現できます。製品と同じ型の模型を使用するため、中子がなくても複雑な形状の鋳物を造り出すことが可能です。
製造途中で設計を変更する場合でも、発泡スチロールであれば簡単に修正ができます。メリットが多い消失模型鋳造ですが、燃焼ガスの発生といったデメリットもあります。ここからは、消失模型鋳造のメリットとデメリットを解説していきます。
消失模型鋳造のメリットは、複雑な形状でも発泡スチロールの加工で容易に再現できるという点です。発泡スチロールなので設計変更にも柔軟に対応ができます。製品を肉薄にできるので、軽量化も可能です。
発泡スチロールは軽量なので、作業負担も軽減できます。試作品も発泡スチロールで作れるので、鋳造にかかるコストダウンも可能です。製法に無駄もなく、工場で排出される産業廃棄物も大幅に削減することができます。仕上げも簡単で作業時間を短縮できるので、納期の日数も短縮できるでしょう。
消失模型鋳造のデメリットは、一つの製品に一つの模型が必要な点です。小ロットの製品であれば問題ないですが、大量生産となると、かえって手間やコストがかかってしまう可能性があります。また、発泡スチロールの模型は強度が弱いため、砂の重みで型が変形したり破損してしまうこともあります。
産業廃棄物を減らすことはできますが、発泡スチロールの燃焼ガスが発生するので注意が必要です。
ここからは、消失模型鋳造の製造工程を解説していきます。
まずは発泡スチロールの型を作る工程です。原料ビーズを発砲させて、金型に発砲模型を作ります。模型をしっかり乾燥させて、寸法を安定させましょう。乾燥したら、湯口と湯道を作り、模型に塗型を塗布してさらに乾燥させます。
型が完成したら、砂の中に発泡スチロールの模型を入れましょう。発砲模型に溶湯をそそぐと、型は焼失します。製品と湯道を切り離し、砂を落としたら完成です。
発砲模型の作り方は、発泡スチロールを金型に吹き付ける方法と、発泡スチロールのブロックからCADを使って削り出し、接着剤で組み立てる方法があります。どちらの方法でも同じ工程で鋳造することが可能です。
選定基準:2021年10月時点にGoogleで「軽金属 鋳造」と検索したところ公式サイトが表示された100社を対象に調査し、そのうち、下記の各条件が確認できた1社を選定
※高品質:工場内に室温管理システム完備させていることを公式HPで明記している会社(https://www.metal-casting.jp/casting/casting/)
※大ロット:ダイカストマシンを11台保有し最大2,000個/月に対応を公式HPで明記している会社(http://hikari-light-metals.co.jp/html/koujosetsubi.html)
※超大型:2,000kg以上の鋳造実績を公式HPで明記している会社(https://www.tac-casting.com/business/products/#pro-auto)
※特殊素材:ベリリウム銅合金の鋳造および鍛造に対応と公式HPに明記している会社(https://www.feps.co.jp/tech/manufactur/melt.htm)