シリンダーヘッドの動弁機構に被さるカバーとして用いられる「ヘッドカバー」。ここでは、ヘッドカバーの鋳造方法や鋳造する際のポイント、依頼先メーカーの選び方について紹介します。
「シリンダーヘッドカバー」の略称として用いられるヘッドカバーは、その名前通りシリンダーヘッドの動弁機構に被さるカバーです。これによって、シリンダーヘッドを守る役割を担っています。
このヘッドカバーの鋳造方法は、プレス加工を始め複数の種類が存在することが特徴です。ここではその中から2つの方法を紹介します。
ダイカストとも呼ばれる高圧鋳造法は、ヘッドカバーを製作するメジャーな方法の1つと言えるでしょう。
溶かしたアルミニウム合金などの素材を、高温・高圧力によって型に流し込むことで、ヘッドカバーは生成されていきます。この方法のメリットとして、重力鋳造や低圧鋳造と比べて寸法精度が非常に高いことが挙げられます。
石膏鋳造とは、鋳造の際に金型を用いない方法であることが特徴です。金型の代わりに石膏を用いて型を作り、そこへ素材を流し込むことで鋳造します。
石膏鋳造の特徴として、複雑な形状や微細な凹凸を再現することが可能であり、その精度は非常に高度です。それでいて、高圧鋳造法と同じレベルの鋳肌・薄肉の製品を実現できる点も見逃せません。
樹脂化が進められているシリンダーヘッドカバー。ヘッドカバー鋳造の際、意識しておきたいポイントが使用する素材です。これまでは鋳鉄やアルミ合金が用いられるケースが目立ちましたが、近年では素材の樹脂化が進められています。
素材を樹脂化する目的として、まず挙げられるのが軽量化です。軽量であれば、それだけ車にかかる負担も軽減できるでしょう。また、機械加工が不要となることによる低コスト化にも注目です。
ヘッドカバーにはこうした多くの素材が採用できるため、依頼の前にそれぞれの特徴についてはしっかり把握しておくことをおすすめします。
ヘッドカバーには多くの鋳造方法、素材が存在しており、それぞれで得意とするメーカーも異なるでしょう。そのため、メーカーへの依頼を検討している場合には、まず具体的にどのような鋳造方法、素材を求めているかを確認したうえで、依頼を出すようにしてください。
選定基準:2021年10月時点にGoogleで「軽金属 鋳造」と検索したところ公式サイトが表示された100社を対象に調査し、そのうち、下記の各条件が確認できた1社を選定
※高品質:工場内に室温管理システム完備させていることを公式HPで明記している会社(https://www.metal-casting.jp/casting/casting/)
※大ロット:ダイカストマシンを11台保有し最大2,000個/月に対応を公式HPで明記している会社(http://hikari-light-metals.co.jp/html/koujosetsubi.html)
※超大型:2,000kg以上の鋳造実績を公式HPで明記している会社(https://www.tac-casting.com/business/products/#pro-auto)
※特殊素材:ベリリウム銅合金の鋳造および鍛造に対応と公式HPに明記している会社(https://www.feps.co.jp/tech/manufactur/melt.htm)