自動車の排気系部品の一種である「タービンハウジング」。ここでは、タービンハウジングの鋳造方法や鋳造する際のポイント、依頼先メーカーの選び方について紹介します。
タービンハウジングとは、自動車の排気系部品の一種です。自動車においては空気ポンプの役割を担っており、そのため熱による変形・酸化が生じにくいとされる「特殊耐熱鋳物」で製造されます。
タービンハウジングは主に「シェルモールド法」と「コールドボックス法」のどちらかによって製造されることも特徴です。
シェルモールド法とは、精密な砂型を造ることで、鋳造品を製造する方法です。砂型の強度はとても高く、金属の膨張にも対応できる点がポイント。寸法の精度にも優れており、複雑な形状の鋳物にも柔軟に対応できます。
コールドボックス法とは、有機粘結剤を使用した鋳型を、ガスを用いて硬化させる方法です。これは「ガス硬化造型法」のなかの一つであり、作製を進めるうえで木型や金型の加熱は行いません。
今までのタービンハウジングでは、一体成形の鋳造部品を用いるのが基本とされてきました。その理由として、排気の平均温度は850℃と非常に高温となりますが、一体成形の鋳造部品であれば、耐熱性や耐久性に優れていたためです。
しかし、近年では技術の発展に伴い、「ステンレス鋼板」を用いたうえで内管と外管が二重構造になっているものも誕生しています。二重構造となっていることで、空気断熱の効果が期待できるようになる、熱容量が下がることで素早い昇温も可能となりました。また、素材として板金が用いられているため、軽量化も期待できます。
一方で、一体成形の鋳造部品と比べて多数の部品を組み合わせたうえでの溶接が求められ、コストが上昇するケースも否定できません。こうした事情から量産を実現する難易度は高いものでしたが、最近ではこうした課題を解決するメーカーも出始めています。
タービンハウジングの製造を検討している場合には、こうした点も把握しておくと良いでしょう。
タービンハウジングは技術の発展に伴い、従来の枠にとらわれない製造を行うメーカーも現れ始めています。こうしたメーカーに依頼をしたい場合は、ホームページの確認やカタログの取り寄せなどで、実績や技術をしっかりチェックするようにしましょう。
選定基準:2021年10月時点にGoogleで「軽金属 鋳造」と検索したところ公式サイトが表示された100社を対象に調査し、そのうち、下記の各条件が確認できた1社を選定
※高品質:工場内に室温管理システム完備させていることを公式HPで明記している会社(https://www.metal-casting.jp/casting/casting/)
※大ロット:ダイカストマシンを11台保有し最大2,000個/月に対応を公式HPで明記している会社(http://hikari-light-metals.co.jp/html/koujosetsubi.html)
※超大型:2,000kg以上の鋳造実績を公式HPで明記している会社(https://www.tac-casting.com/business/products/#pro-auto)
※特殊素材:ベリリウム銅合金の鋳造および鍛造に対応と公式HPに明記している会社(https://www.feps.co.jp/tech/manufactur/melt.htm)